理事長メッセージ

田園調布雙葉学園 理事長
吉武 豊
田園調布雙葉学園は「幼きイエス会」が1941年に日本で5番目に開校したカトリックの女子校です。
設立母体の「幼きイエス会」は、1666年にミニム会司祭ニコラ・バレ神父によってフランスで創設された女子修道会です。「幼きイエス会」の教育が目指すものは、神に愛され生かされていることを知り、独自性、相互性、自由性を生きる人間へと成長し、よりよい世界を作るために働けるものとなることを手助けすることです。
目まぐるしく変化する現代社会において、学校教育のあり方は多様化しています。そのような中にあって、本学園は、これからも、カトリックの教えに基づく人間教育を長期一貫教育の中心に据えることにより、また、女子校という環境の中で、性別による役割や制約を意識したり、それに固執したりすることなく、のびのびと学習・体験させることにより、自分の能力を信じて行動できる人、自分の思いを素直に表現できる人を育てたいと思っています。
カトリックの教えに基づく人間教育
~祈りを通して神さまと出会い、神さまに心を開いて神さまから望まれる自分と他者を知る~
本学園では、子どもたちに幼い時からゆっくりと時間をかけて自然な形で、自分(「わたし」)が神さまから愛され生かされていること、そして、友だちも同じように神さまから愛され生かされていることを伝えます。そうすることで、子どもたちは、一人ひとりの個性と可能性を尊重し、お互いを認め合い、高め合える関係を築くことができるようになります。また、小さくされた人たちや、様々な環境に置かれた人たちとの出会いと関わりを通じて、奉仕の精神を学びます。
12~14年の長期一貫教育
~一人ひとりの「時」を大切に、年令に応じた節目を持ちつつ、長い目で成長を見守る~
本学園では、子どもたち一人ひとりの芽吹きを信じて見守りを続け、適切な時期に適切な学びや体験の機会を設けることを心がけています。また、子どもたちの成長のために、成功体験だけでなく、失敗の経験も大事にしています。12~14年という長い期間に、子どもたちは友だちとぶつかったり、出会い直したりを繰り返し、真の多様性と包摂性を理解できるようになります。そして、本学園の特色のひとつである縦割り活動(年齢の異なる子どもたちが交わる活動)を通じ、子どもたちは、自分を発見し、他者を受容し、自分を表現する経験を積みます。また、中学・高校の受験がないゆとりによって、好きなことを諦めずに続けられることも本学園の特徴です。
家庭や子どもを取り巻く人たちと協力する教育
~ともに歩み、ともに育てて、ともに育つ~
教員が一人ひとりの子どもたちに寄り添い、子どもとともに歩んでいくことに加えて、本学園では、教員と保護者が協力して子どもに向き合い成長を見守る「協育」と、教員だけでなく保護者や卒業生も子どもを取り巻く大人のひとりとして子どもたちの教育に協力し、その大人たちも子どもたちの成長とともに成長する「共育」のふたつを大切にしています。
本学園は、次のような人を育てて社会に送り出すために、これからも進歩を続け、教育活動に励みます。
〇自分の使命を生きる人
~「わたし」と出会い、「わたし」を磨き、「わたし」を生きる人~
〇他者とともに生きる人
~他者の多様性を認め、他者を大切にし、他者と共生・協働できる人~
〇芯を持ちしなやかに生きる人
~祈りのうちに真理を究め、流されない優しさと強さをもって行動できる人~